Facebook広告は、ターゲティング精度が高く、配信までのステップが比較的容易であるというメリットがあります。しかし、着実に成果を上げるには、ノウハウに則った適切な運用が必要です。
今回は、Facebook広告で成果を上げるための運用のコツを22個ピックアップしてご紹介します。いずれもすぐに実践できるノウハウを集めましたので、ぜひ参考にしてください。
大きく以下4つのカテゴリーに分けてご紹介します。
- 【カテゴリー1】全般設定
- 【カテゴリー2】ターゲティング設定
- 【カテゴリー3】クリエイティブ制作
- 【カテゴリー4】PDCAの回し方
【カテゴリー1】全般設定のポイント5つ
まず、Facebook広告アカウント全般の設定に関するポイントを解説します。ここでご紹介するポイントは、以下5つです。
- アカウント内の各要素に整合性があるかを確認する
- 各キャンペーンの「目的」を明確に定義する
- 設定途中のキャンペーンは「オフ」にする
- 「自動配置」機能を活用する
- 広告ポリシーを守る
それぞれ具体的に解説します。
1.アカウント内の各要素に整合性があるかを確認する
Facebook広告のアカウント構造は、以下の3階層から成り立っています。
- キャンペーン
- 広告セット
- 広告
「キャンペーン」「広告セット」「広告」の関係は、以下のとおりです。
ここでは一例として、女性向けの商品・サービスをPRするための広告を挙げています。
「キャンペーン」で設定した広告の目的と、その下層にある「広告セット」や「広告」で設定する項目の内容との間に整合性があるかをチェックしましょう。
2.各キャンペーンの「目的」を明確に定義する
Facebook広告では、目的ごとにキャンペーンを設定できます。目的と設定を適切に選ぶことで、広告は対象ユーザーに届きやすくなります。
設定できる目的は、以下6種類に分けられます。
どの目的に沿って広告を出稿するのかを、明確に決めておきましょう。
- 潜在層への「認知度アップ」を狙う
- 自社サイトなどへの「トラフィック」増加を狙う
- 広告に対する「エンゲージメント」向上を狙う
- 自社から連絡できる「リード」獲得を狙う
- スマホユーザーに「アプリの宣伝」をおこなう
- 商品・サービスの「売上」を伸ばす
各目的については、Facebook広告の運用元であるMeta社のへルプサイトに詳しく記載してあります。
3.設定途中のキャンペーンはオフに
Facebook広告のキャンペーンは、ステータスを「オン」にすると、自動的に広告審査が始まり、審査通過後に配信が開始されます。
想定外の広告費がかかってしまわないよう、設定が済んでいないキャンペーンなどは、必ず「オフ」にしておきましょう。
4.「自動配置」機能を活用する
「自動配置」の機能を活用すると、Facebook側で機械学習をおこない、最も効果的な配信枠に広告を表示できます。
自動配置を続けていくと、配置枠によって成果に差が出ます。
リーチやコンバージョンが少ないなど、効果が得られていない配信先については、クリエイティブの変更や広告の停止を検討してもいいでしょう。
5.広告ポリシーを守る
広告は、Facebook側の審査を通過しなければ掲載できません。
そのため、Facebook広告のルールである「広告ポリシー」を遵守する必要があります。
24時間以上経っても広告が掲載されない場合には、広告ポリシーのいずれかに抵触している可能性があります。
公式ページから、広告ポリシーの詳細を必ず確認しておいてください。
【カテゴリー2】ターゲティングのポイント4つ
続いて、ターゲティングに関するポイントは以下の4つです。
- ターゲティングを絞りすぎない
- 「カスタムオーディエンス」機能を活用して、顕在にリーチする
- 「類似オーディエンス」機能を活用して、コンバージョン率を高める
- 「リターゲティング」機能は、好感触なユーザーを対象にする
それぞれ詳しくご説明します。
1.ターゲティングを絞り込みすぎない
Facebook広告では、年齢・地域やユーザーの興味・関心などによる細かいターゲティングが可能です。
しかし、広告運用の初期段階では「コンバージョン」よりもを重視するのがオススメです。
多くのクリックを得ることで、ユーザーのデータが貯まっていき、その後のPDCAが回しやすくなるからです。
弊社デジタルチェンジでは、十分なデータが貯まり、打ち手が固まってくる運用4か月頃を目途に、コンバージョン重視の設定に切り替えるケースが多いです。
2.「カスタムオーディエンス」機能を活用して、顕在層にリーチする
「カスタムオーディエンス」は、Facebook内外で取得した顧客リストを用いて広告を配信する機能です。
既存顧客に向けて新商品をPRするときや、検討段階の顧客に自社のことを思い出してもらうのに有効です。
たとえば、以下のようなユーザーに向けて広告を配信できます。
- 自社のFacebook広告へ「いいね!」をしてくれたユーザー
- 自社のwebサイトへ訪問したことのあるユーザー
なお、顧客のアドレスは暗号化されるため、顧客情報漏洩などの心配はありません。
3.「類似オーディエンス」機能を活用して、コンバージョン率を高める
「類似オーディエンス」とは、既存顧客と似た傾向をもつFacebookユーザーに広告を配信できる機能です。
自社ビジネスに興味関心を示す可能性が高いユーザーに絞って広告を配信できるため、コンバージョン率の向上が期待できます。
類似オーディエンスの設定方法は、以下のとおりです。
【手順1】広告マネージャの「オーディエンス」から「オーディエンスを作成」>「類似オーディエンス」を選択
【手順2】類似オーディエンスのベースとなるソース、広告を配信したい地域・国、オーディエンスサイズ(ソースに指定したオーデエンス層と類似しているとみなす範囲)を設定
【手順3】「オーディエンスを作成」をクリック
4.「リターゲティング」機能は、好感触なユーザーを対象にする
リターゲティングをおこなう際は、自社の広告によい反応を示しているユーザーを対象にしましょう。
たとえば、動画広告の再生時間やLPの滞在時間が長いユーザーなどをオーディエンスに設定するとよいです。
行動傾向によってオーディエンスを絞ることで、エンゲージメントの高いユーザーにアプローチし、広告効果向上が期待できます。
【カテゴリー3】クリエイティブ制作のポイント7つ
ビジュアル面での訴求をおこなう要素として非常に重要な「クリエイティブ」について、以下7つのノウハウをご紹介します。
- 対象ユーザーの趣向に沿った配色・デザインにする
- 訴求ポイントを1つに絞り、カルーセル広告を使う
- 訴求ポイントを明確にする
- 動画クリエイティブを活用する
- クリエイティブを定期的に更新する
- 各配信面に適したサイズでクリエイティブを作成する
- 広告ライブラリを活用して、競合を調査する
それぞれ詳しく解説します。
1.対象ユーザーの趣向に沿った配色・デザインにする
年齢や性別によって、色やデザインの好みには傾向があります。
デザインや配色を対象ユーザーの好みに合わせることで、目を止めてもらったりクリックしてもらったりしやすくなります。
あくまでも一例ですが、成果の上がっている広告には、以下のような傾向が見られます。
対象ユーザー | カラー | フォント |
20代・女性 | パステルカラー | 手書き風のフォント |
50代・男性 | コバルトブルー | ゴシック体のフォント |
対象ユーザーと同年代の人物が写っている写真を使うだけでも、親近感をもってもらいやすくなります。
また、BtoB案件では男性よりも女性の写真を使った方が成果が出やすい傾向にあります。
2.訴求ポイントを1つに絞り、カルーセル広告を使う
カルーセル広告とは、複数の画像を横スクロールでスライド表示できる形式の画像広告です。
複数の画像を使って訴求できるため、ユーザーに商品・サービスのイメージをもってもらいやすくなります。
ただし、訴求したいポイントは1つに絞るようにしましょう。
デジタルチェンジでは、マンション販売の広告において、内装写真に絞ったカルーセル広告を出した事例があります。
結果として、広いリビングに憧れるユーザーに関心をもってもらったことで、リード獲得につながりました。
3.訴求ポイントを明確にする
訴求したいポイントを明確にすることで、より効果的なクリエイティブを作成できます。
訴求ポイントを明確化するには、対象顧客の悩みや関心ごとを言語化し、伝えたい情報に優先順位をつけるようにしましょう。
とくに訴求すべき内容(メインコピー)と、感情を動かすような一文(サブコピー)を分け、メッセージに強弱をつけましょう。
4.動画クリエイティブを活用する
動画広告は、静止画像よりもユーザーの目を惹きやすい広告です。
動画を観てもらうことで広告の表示時間が長くなるため、広告の品質スコアを上げる効果も期待できます。
動画広告では、再生開始直後にユーザーの心を掴むことが重要です。
動画の冒頭で「○○したい方必見」や「○○にお困りのあなたへ」のように、誰に向けた広告なのかを明示すると、関心をもってもらいやすくなります。
なお、音声を聞く人は少ないので、画像だけで内容が伝わるような広告にしましょう。
5.クリエイティブを定期的に更新する
SNS上では、ユーザーは1日に何度もタイムラインを目にします。
そのため、同じクリエイティブで広告を出し続けていると、新鮮味がなくなってしまい、クリック率が下がってしまうことがあります。
更新頻度の目安は、1~2週間です。
6.各配信面に適したサイズでクリエイティブを作成する
Facebook広告では、さまざまなアスペクト比でクリエイティブを表示できます。
画像・動画ともに、代表的な配信面と必ず用意しておくべきサイズの組み合わせは、以下のとおりです。
配信面 | フィード | ストーリーズ |
アスペクト比 | 1:1(スクエア) | 9:16(縦長) |
サイズ | 1,080×1,080px以上 | 1,080×1,920px以上 |
7.広告ライブラリを活用して、競合を調査する
広告ライブラリは、InstagramやMessengerを含むすべての媒体で配信されているFacebook広告を閲覧できるツールです。
企業名や任意のキーワードで検索をすることができ、競合他社がどんなクリエイティブや訴求文で広告を配信しているのかを確認できます。
また、フィルターをかけることで、配信先や広告形式(動画・写真など)・配信期間別に広告を洗い出すことも可能です。
競合が出している広告クリエイティブを参考にしたり、逆に差異化を図って別の要素を加えるなど、クリエイティブ改善に活用できます。
【カテゴリー4】PDCAの回し方のポイント6つ
Facebook広告のデータを活用してPDCAを回すために役立つノウハウを、6つご紹介します。
- 大きな変更をしたら1週間以上は結果を待つ
- 広告とリンク先ページとの関連性をチェックする
- 機械学習効率化のために、ライトコンバージョンを設定する
- Facebookピクセルを利用し、広告成果のデータを貯める
- 予算を絞りすぎない
- 広告レポートを定期的にチェックする
それぞれ具体的にご説明します。
1.大きな変更をした後は、1週間ほど様子を見る
画像やテキストを差し替えたり、変更した場合は1週間ほど結果を待ちましょう。
その理由は2つあります。
- 日によって広告成績には差がある
- 大幅な変更を短期間で頻繁にしていると、広告の成果が落ちる可能性がある
頻繁に広告設定を編集してしまうとFacebook側の情報収集がうまくいかず、広告の成果が落ちてしまう可能性があります。
情報収集に関するステータスはので、参考にしてください。
とくに「情報収集中」の間は、多少パフォーマンスが悪くても設定を変更しないようにしましょう。
他のクリエイティブを試す場合は、広告セットを別に作成するとよいでしょう。
2.広告とリンク先ページとの関連性をチェックする
Facebook広告とリンク先のページとで、内容面やデザイン面でのギャップがないかを確認しましょう。
ユーザーは、あくまでも広告内容に興味をもって広告をクリックしてくれています。
広告とLPとでギャップがある場合、せっかくリンク先に遷移してくれたとしても、違和感をおぼえたユーザーが離脱してしまう可能性が高まります。
広告からリンク先ページへ、違和感なく遷移できるようなつくりを意識しましょう。
3.機械学習効率化のために、コンバージョンを設定する
ライトコンバージョンとは、最終的に目指しているコンバージョンよりも手前の段階で、気軽に到達してもらえるコンバージョンのことです。
たとえば、LPからの商材購入が最終的なコンバージョンの場合、手前のアクションである「フォーム入力」や「注文ボタンのクリック」をコンバージョンに設定することで、コンバージョンの獲得数が増やせます。
コンバージョンの獲得数を増やすことで、Facebookの機械学習が効率よく進み、より効果的な広告配信が可能になります。
デジタルチェンジでは、より高いパフォーマンスを出すため、広告の出し方を随時見直しています。
ある程度のパフォーマンスが出ている広告でも、配信フォーマットをリード獲得型に変更することで、コンバージョン率を約6倍に増やした実績があります。
4.Facebookピクセルを利用し、広告成果のデータを貯める
Facebook広告には「ピクセルコード」という、広告からのリンク先ページにおけるユーザーのアクションを計測する機能があります。
たとえば、EC上の「購入完了」ページにピクセルコードを埋め込んでおくと、商品を購入したユーザーと類似するユーザーへ広告を表示できるようになります。
結果として、購入可能性の高いユーザーへのリーチ数が増やせます。
リターゲティングや購入を期待できるユーザーへの広告配信にも役立ちます。
5.予算を絞りすぎない
PDCAを回していくために必要なユーザーデータやコンバージョンを獲得するためには、ある程度まとまった予算の投下が必要です。
Facebook側は、予算設定に影響する獲得数の目安として「7日以内の広告セット最適化イベント50件」を挙げています。
この基準を満たすために、一般的には、1日あたり3,000円、1か月あたり30万円ほどの予算を確保するとよいでしょう。
6.広告レポートを定期的にチェックする
Facebook広告のレポートでは、クリック数、リーチ数、利用者データなどさまざまな指標を確認することができます。
詳細な分析には専門知識が必要ですが、もっとも反応のよい広告と悪い広告を判断するなど、簡易な確認は自社で定期的におこなうようにしましょう。
Facebook広告の運用はプロに任せるのもオススメ
ここまでFacebook広告の運用を成功させるためのコツを22個ご紹介してきました。
しかし、場合によっては、広告を自社で実施するリソースがないというケースもあるでしょう。
もしくは、自社で運用しているが、なかなか改善が進まずに広告費ばかりがかかっているというケースもあるかもしれません。
そのようなときには、広告運用のプロに相談するのも1つの手段です。
弊社デジタルチェンジでは、1か月あたりのコンバージョン目標が10件程度の案件をご依頼いただく機会が多いです。
自動車案件、ラグジュアリーブランドなど、コンバージョンが獲得しにくい場合には、ライトコンバージョンを設けて広告を最適化するなど、商材・サービスに適した施策を策定し、実施しています。
コンバージョン数を伸ばすために、1件でもコンバージョンが発生したタイミングで、コンバージョンの属性確認などの分析をおこなっています。
場合によっては、ライトコンバージョンよりもさらに細かい「マイクロコンバージョン」を設定して、より精緻なデータ取得をおこなうこともあります。
有料オプションにはなりますが、Googleアナリティクスを用いたユーザー行動の分析を踏まえて、施策をご提案することもございます。
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